March 26, 2012

第6回全日本マスター&シニア選手権大会/第5回関東オープントーナメント・レポート

第6回全日本マスター&シニア選手権大会・レポート

取材:JBJJF広報部

今年で6回目となるブラジリアン柔術「全日本マスター&シニア選手権」が、2012年3月25日、アスリートの聖地の一つである駒沢オリンピック公園総合運動場・屋内球技場で開催された。
DSC_0041


「全日本マスター&シニア」通称「マスシニ」は年齢30歳以上を対象とした大会だ。ブラジリアン柔術公式競技規則では、マスターは30歳以上、シニア1は35歳以上、シニア2は40歳以上…と、各トーナメントへのエントリーが、年齢5歳ごとに分けられている(ただし自分の年齢より年下のカテゴリーへのエントリーは可能)。この同年代と競い合えるシステムが、試合参加へのハードルをより下げることに一役買っているのだ。近年、参加型のDoスポーツとして競技人口を急速に増やしたブラジリアン柔術だが、この細やかな年齢別カテゴライズも、その要因のひとつと言えるだろう。

今回のマスシニも、“年齢別日本一”の称号を目指し、日本各地から選手・愛好家ら、延べ500名以上が参加し(同時開催の関東オープンも合わせ)、試合マット6面使用という盛況振りだった。
DSC_1085

特筆すべきは、45歳以上のシニア3クラスで20選手以上、50歳以上も3選手がエントリーしたことだ。柔術が生涯スポーツと言われる理由がよく解るだろう。50代でもあえてシニア2クラスに参戦する選手もいて、壮年期などまだ早いとばかりに、果敢な攻めで会場を沸かせていたのが印象的だ。
DSC_0824

DSC_0829


数多くの試合が進行していくなか、もっとも注目を集めるのは、やはり黒帯だろう。日常的にアダルトカテゴリー(30歳以下)で試合出場するOver30の選手も、今大会に限りマスターやシニアのカテゴリーに出場し、"全日本"のタイトルを狙いにくる。また、普段は練習生の指導に重きを置き試合に離れていたジム代表・指導者が、この日だけは現役復帰を果たすのも見所の一つ。試合時間もマスター黒帯は6分。シニア以上は全帯で5分とアダルトに比べて短いため、スタミナを心配することなく全力で臨めるメリットもあるのだろう。レベル的には、アダルトに勝るとも劣らぬ、いや凌駕さえしている好試合が続出した。


マスター黒帯ライト級
 丹治章近(CLUBE DE JIUJITSU)、関口和正(PUREBRED大宮)、廣瀬貴行  (パラエストラ葛西)、小林元和(飛翔塾)という国際経験豊富な実力者が揃ったマスター黒帯ライト級。一回戦の関口vs広瀬は実力拮抗する大熱戦で、下から関口をベリンボロなど多彩な技を仕掛けるが、一つ一つ瀬が丁寧に潰していく展開が続く。0-0のまま得点が動かなかったが、瀬がパスガードなどでアドバンテージを2つ得て辛勝。
DSC_5318

DSC_5379

DSC_5378

DSC_5433


小林元和の急遽欠場により丹治章近が不戦勝が上がり広瀬と対戦。丹治が引き込みと同時に腕十字に。広瀬はこれをなんとかしのいで試合終了間際にガードからの片足タックルに成功し優勝を果たした。
DSC_6027

DSC_6196

DSC_6198

DSC_6215


マスター黒帯ミドル級
時任拓磨(PUREBRED大宮)と近藤哲也(和術慧舟會ネイキッドマン柔術)のワンマッチ決勝に。過去4度の対戦を全て制している時任は、この日も試合開始直後に得意のホレッタを決め2点先制。最後は手首固めで一本勝ち。
DSC_6249

DSC_6283

DSC_6374


マスター黒帯オープンクラス
元々は近藤、広瀬、小林が参加の巴戦の予定だったが、小林の欠場で近藤vs広瀬の2連戦に。一回戦はタックルからのサイドポジション奪取で5-0で広瀬。そして約1時間後の再戦でも前回同様に広瀬が上からプレッシャーを掛け続けマウントへ。そこから広瀬は十字絞めを狙い続け、結果7-0で勝利。広瀬はマスター黒帯の2冠達成。名実ともに日本一強いマスター世代になった。
DSC_7228

DSC_7267


シニア1黒帯オープンクラス
3人参加の巴戦。一回戦で稲野岳(Team Barbosa Japan)に敗れた佐藤信宏(ジェントルアーツ名古屋ブラジリアン柔術クラブ)が決勝に上がり再戦。今度は佐藤が体格差を活かしたパワーで稲野をコントロールし、レフリー判定でリベンジを果たした。
DSC_7314


シニア1黒帯フェザー級
一ヶ月前の第6回全日本新人選手権大会のマスターで対戦済み友野晴敏(Dream Fantasy 7 新潟)、佐野英司(京都何気)が、今回はシニア1黒帯フェザー級の舞台で再戦。リベンジを狙う佐野は素早く引き込みスパイダーガードでコントロールするが、中盤から友野が無尽蔵とも言える上からのプレッシャーを掛け続け、アドバンテージ3つを得て連勝した。 
DSC_6464


シニア2黒帯ミドル級&オープンクラス
日本のブラジリアン柔術草創期から活躍する黒帯歴7年目の大ベテラン高谷聡(パラエストラ吉祥寺)は、シニア2黒帯ミドル級、シニア2黒帯オープンクラス共にワンマッチ決勝で、どちらも相手は黒帯になって間もない西村暁(INFIGHT JAPAN)だった。胸を貸す、と言わんばかりに大きく構える高谷は、西村の下からの責めを冷静に受け流し、パスを狙い続けアドバンージを得て盤石の勝利を得た。高谷は2冠である。
DSC_5905

DSC_6563



続いて、茶帯の熱戦をお届けする。

マスター茶帯ルースター級
ワンマッチ決勝戦。武田宜大(トライフォース柔術アカデミー)vs伊藤正純(パラエストラ川崎)。伊藤はマスシニの常連で、第四回大会はシニア1茶帯で、第五回大会もマスター茶帯で準優勝を果たす実力者だ。一方の武田もガードポジションからの攻めに長ける選手で、数多の大会で優勝を果たしている。結果は伊藤が勝利。
DSC_5583

DSC_5630



マスター茶帯ライトフェザー級
決勝は、井上祐弥(パラエストラ上越)と、昨年のマスター茶帯ガロ級優勝の永嶋賢史(ジェントルアーツ名古屋ブラジリアン柔術クラブ)の一戦に。4分過ぎまで一切得点が動かないほど実力拮抗していたが、試合終盤に下から足をすくい立ち上がるパスで2-2に追いついた井上が、レフェリー判定で辛勝。井上はオープンクラスでも体重差のある相手に勝利を収め、見事3位に輝いている。
DSC_5708


マスター茶帯フェザー級
関西の雄・後藤純(グレイシーバッハ JAPAN)、多数のアマグラップリングで好成績を収める伊藤正規(ハイブリッドレスリング山田道場)などがエントリーした猛者揃いのカテゴリー。優勝は畑足穂(何気柔術アカデミー)。安定感のある試合運びで2度のレフェリー判定を制した。
DSC_5756

DSC_5764



マスター茶帯ライト級
昨年のマスター茶帯ライト級の覇者である塚本隆康(パラエストラ東京)は、巴戦で勝ち上がってきた橋本和樹(飛翔塾)を下から草刈りでテイクダウンし、2-0で連覇を達成。
DSC_5799

DSC_5847


マスター茶帯オープンクラス
名門・パラエストラ東京の選手が4名エントリーしたマスター茶帯オープンクラス。決勝は、小池正一郎と塚本隆康の同門対決に。日頃の練習で手の内を知り尽くしているからか、6分間では共に得点もアドバンテージもなし。レフェリー判定で軍配は小池に上がった。ちなみにパラ東は同階級の1~3位までを独占した。
DSC_7424

DSC_7449

DSC_7461


シニア1茶帯ライトフェザー級
茶帯になって1年弱の明智健太郎(ノヴァウニオンジャパン)が、決勝始まってすぐに一瞬の切り返しでバックを奪い、お手本のような送り襟絞めで試合開始2:00で一本勝ち。
IMG_7442
(Photo by Takashi Umezawa)

シニア1茶帯ミドル級
全日本と銘打つだけあり参加者3人が“遠征組”となったシニア1茶帯ミドル級。決勝は大阪の三宅康幸(OKA-JJ)と静岡の長濱裕一(WK Suruga)の一戦になり、ホレッタ気味のスイープを決めた三宅が地元に金メダルを持ち帰ることに。
DSC_6401



シニア1茶帯オープンクラス
ワンマッチ決勝となった。松本康雄(グラスコ柔術アカデミー)が、大柄な上山直也(トライフォース柔術アカデミー)にどう挑むのかに注目が集まった。序盤は体格差を駆使した上山の圧力に防戦一方の松本だったが、終盤に下からのスイープで同点追いつき会場を沸かす。しかし最後は体格差にはかなわず、上山が優勝を果たした。
DSC_6501

DSC_6510


シニア2茶帯フェザー級&オープンクラス
参加者は山田泰範(Fellows)、田中博司(パラエストラ岐阜)の2名だけで、フェザー級、オープンクラスのどちらも両者ワンマッチ決勝に。階級別で苦杯をなめた田中は山田より先手・先手で責めていたが、0-0状態から残り5秒で山田の狙ったパスにアドバンテージを与えてしまう。山田は2冠に。
DSC_7025


<団体優勝>
1位・トライフォース柔術アカデミー
2位・パラエストラ吉祥寺
3位・ストライプルオハナ
DSC_8204



 年々参加人数が増加し、好試合、大激戦が続出したマスシニ。日本のブラジリアン柔術の歴史はまだ十数年だが、草創期の20代選手が30代になったという理由は勿論、中高年の白帯・青帯がいることでも解るように着実に競技としての裾は広がっている。既に来年も同時期に今回の会場となった駒沢オリンピック公園総合運動場での「第7回大会」も決定した。日本のブラジリアン柔術、益々盛り上がること必至だ。
DSC_7609

DSC_6489

DSC_6482



<中井祐樹・JBJJF会長の大会後コメント>
「マスター&シニアは、ある意味、日本のお家芸でしょう。どの道場もその層が厚い。そこらの若者、総合格闘家が、こと寝技においてはまったくかなわない“おじさん”がいっぱい日本中の道場にいます。これはもはやブラジル状態と言えるかもしれません。特に東京は一時のリオデジャネイロのようになっている。今大会にしても、成熟を感じさせる内容でした。日本のマスター以上は強い、と思っています」



第5回関東オープントーナメント・レポート

ここからは、第6回全日本マスター&シニアと同時開催された、第5回関東オープントーナメントをお伝えする。去年からスタートしたJBJJFランキングシステムだが、本大会でももちろん優勝者、入賞者にはポイントが付与される。大会ごとに左右されるランキングを気にしながらの参戦、観戦も、ブラジリアン柔術の新たな楽しみのひとつとなるのではないだろうか。

アダルト黒帯ライトフェザー級
今大会唯一の黒帯マッチとなった同カテゴリー。37歳にしてアダルトに挑む金子一朗(ポゴナ・クラブジム)が、佐藤和弥(パラエストラ八王子)を2−0で下した。ちなみに金子は去年、黒帯3位(9P)にランキングされている。去年に続き世界大会出場を視野に入れ、引き続き精力的に試合をこなしていくとのこと。
DSC_8091

DSC_8151


アダルト茶帯ライトフェザー級
去年度茶帯ランキング6位(12P)の山田秀之(デラヒーバ・ジャパン)は、須永和之(ポゴナクラブジム)、吉川寛康(GRABAKA柔術クラブ)との二試合に競り勝ち優勝。今大会で4P獲得。
DSC_7716


アダルト茶帯フェザー級
西林浩平(GRABAKA柔術クラブ)が、ぎっくり腰により欠場したため、宮本和幸(トライフォース柔術アカデミー)と大原道広(ポゴナクラブジム)で争われるワンマッチ決勝となった。大原道広がシーソーゲームを土壇場で制した。
DSC_7828


アダルト紫帯ライト級
紫帯ランキングトップ(4P)だった、鍵山士門(デラヒーバ・ジャパン)がインフルエンザで欠場。玉木強(トライフォース青山)が優勝して、トータルポイントが6となり、現在紫帯のラインキング1位。
DSC_6919


(了)

Posted by jbjjf at 18:28│ 大会レポート | お知らせ